わたしが割安株投資を初めて35年、トレンドがこちらに逆らったことはいちどもない。人間には、簡単なことをむずかしくしようとする、ひねくれた性質があるらしい。
1985年、ウォーレン・バフェットの言葉より
僕たち人間には、自分を特別扱いしたり、自分が住んでいる国を特別扱いしたり、自分が生きている時代を特別扱いする、不思議な特性があります。
今日はそんなことを考えてみます。
僕たちが生きてきた世界は、激動の時代だったのだろうか?
僕はいま33歳です。
僕たちが生まれてから今までで、世界はずいぶんと変わったような気がしませんか?
両親がパソコン(Windows95)を僕に買ってくれたのは、中学二年生のときでした。
同時期にはポケベル、高校に入学したときには携帯電話が流行し、その機能はどんどん進化していきました。
僕が大学に入った頃には、パソコンはすでにほとんどの家庭が所有するようになり、インターネットは劇的に情報の伝達コストを下げました。
そして今では携帯電話はスマートフォンと呼ばれる小さな情報端末に姿を変え、人々の暮らしを一変させています。
僕たちは特別な時代に生まれ、激動の時代を生き抜いてきた──。
そんな直感は果たして正しいでしょうか?
ジェレミー・シーゲル教授のStocks for the Long Runの5th editonにおいて追加された章で、過去100年間を前半と後半の2つに分けて、主要な発明を記述した表があります。
生活を変えた過去100年間の発明
1910 – 1960 | 1960 – 2010 |
---|---|
電気(実用化) | 産児制限 |
室内シャワー | 携帯電話 |
洗濯機 | インターネット |
冷蔵庫 | パーソナルコンピュータ |
車 | |
電話 | |
テレビ、映画 | |
大型コンピュータ | |
旅客飛行機 | |
抗生物質 | |
核エネルギー |
出所:Stocks for the Long Run(5/E) Siegel,Jeremy
こうして並べてみると、直近50年の発明品は、その前の50年よりもだいぶ少なくみえます。
実際のところ、僕たちは人類が華々しい進歩を遂げた、そのちょうど後の時代に生まれてきたというほうが近いのではないでしょうか。
歴史から学ぶということ
シーゲル教授は過去200年の膨大な期間をその研究の対象としてきました。
その結論は、
- 株式市場の平均は常に上昇を続けてきた
- 高配当、バリュー、生活必需品やヘルスケアなどのディフェンシブなセクターは市場平均を超える偏りをみせてきた
などです。
過去のデータというと、どうしても僕たちは、今僕たちが生きている時代を神聖視して、
「このデータは僕たちの時代にはあてはまらないかもしれない」
という風に考えてしまいがちです。
でもおそらく、過去200年に生きてきた人たちは皆僕たちと同じように、
「自分は今までと違う、激動の時代を生きている」
と考えてきたのではないでしょうか。
そうして築き上げてこられたのが、200年の株式チャートなのだと思います。
人間はどうしても自分の時代における経験等を過大評価してしまいます。
過去のデータにおいて、アクティブファンドの成績がまったく奮っていない事実があるにも関わらず、数年間の成績だけをみて持て囃されるアクティブファンドがあったりするのもその典型です。
「今回は違うかもしれない」
「このファンドは今までとは違った画期的な銘柄選別をしているはずだ」
「過去のデータは絶対じゃない」
こうした言説を100%否定することはできまんし、自己責任でやる以上、他の人の判断にケチをつけるつもりもありません。
──でもね。人類がいままで積み上げてきたデータと、あなたの人生経験に基づく直感。
どっちが確率的に正しいと思います?
ソニー生命世界株式をどう思われますか?