先日、バフェット流ETFを教えます。という記事を書きました。
その際に、ベータ値とレバレッジがバフェットの利益の根源だったと書きましたが、これは学者の見解であり、実はバフェットはこの見解に対して猛反論しています。
現代ポートフォリオ理論にとって、リスクは悪です。同じリスクで同じリターンを実現できるのであれば、リスクなど無い方がいいと考えます。
一方でバフェットは、リスクは高いほうが投資家にとっては都合がいいと断言しているのです。
「効率的な市場などありえない。リスクが高いということは、不当に割安な株が市場に存在しているということなのだから、投資家はチャンスと考えるべきだ。」というのがバフェットの考え方なのです。
バフェットの投資術を知る上で、毎年のバークシャー・ハサウェイの株主に送られるバフェットの手紙をまとめた本があります。
バフェットの手紙に書かれていた、バフェットがあげた企業選びのコツを紹介しましょう。
- 企業の長期的経済的特性を評価できるという確信
- 企業の持つ潜在力を生かしきる能力やキャッシュフローをうまく利用する能力の両面で、経営者を評価できるという確信
- 事業で得た利益を自分たちより優先して株主に還元するという点で信頼が置ける経営者であるという確信
- 企業の買付け価格
- 予想される税率とインフレ率と、それによる総収益から投資家の購買力である収益が目減りする度合い
バフェットからの手紙 第4版より
いかがでしょうか?
「確信」という言葉が多用されていることからも分かる通り、バフェットの評価基準というのはひどく定性的で、定量的なデータが好きな学者からすると曖昧すぎるのです。バフェットのバリュー株投資というのは、単純にPERが低い株を買えばいいというものではまったくありません。
バフェットからの手紙を読むと、バフェットが優れていたのはその投資術というより、経営者として、コーポレートガバナーとしていかに優秀だったかがわかります。どこまでも株主に対して誠実であり続けたその姿勢は、すべての経営者が学ぶべきものであると思います。
彼は、その類まれな能力から成長するが割安な企業を的確に判断し成功しましたが、それを後から学者が分析してみた結果、彼の投資傾向はディフェンシブ銘柄志向であり、ベータ値が低い株にレバレッジをかけて投資をするスタイルで成功したと考えられている、というのが実際のところです。
どちらが正しいのかは一先ず置いておくとしても、このことから一つ言えるのは、本来のバフェット流のバリュー株投資を個人投資家が実践するのはひどく難しいということです。
バフェットが妻への遺言として、バリュー株投資ではなくS&P500へのパッシブ投資を勧めていることからも、バフェット自身も無知な素人には難しいと考えていることがわかります。
このサイトを運営する上で、僕がシーゲル教授の理論を参照しているのは、彼の理論は定量的なデータの裏付けにもとづいていて、直感的な判断に依らずに誰がやっても再現性が高いというのが最大の理由です。
僕が目標としているのは、投資の才能がない人が読んでも、長期的に資産を形成できる情報サイトを作ることです。
そして、現実にはアクティブ投資ファンドがパッシブ投資ファンドをほとんど超える成果を残していないという事実からも、ほとんどの人は「投資の才能がない人」であると考えられます。
読者の方を一瞬で億万長者にできるような手法を教えることはできませんが、徐々にお金持ちにすることは可能であると考えていますので、これからも遊びに来ていただければ幸いです。
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