世の中では怪しい投資法が語られるのと並列に、怪しい健康法がこれでもかというほどに喧伝されています。
僕は1年くらい前に、とある健康本を手にとりその本に書かれていた「完全無欠メソッド」を試しつつ、2週間置きに採血にいくことで自分の体をモニタリングしましたが、結果として悪玉コレステロール値であるLDLの数値が悪化しました。
体重 | AST(GOT) | ALT(GPT) | 中性脂肪 | LDL | |
基準値 | 59前後 | 10-40 | 5-45 | 35-149 | 70-139 |
5/9 低糖、運動開始 | 68.4 | 90 | 120 | 181 | 141 |
6/6 完全無欠開始 | 63.1 | 42 | 48 | 98 | 151 |
6/20 | 62.0 | 32 | 31 | 102 | 183 |
7/4 | 60.5 | 36 | 34 | 103 | 177 |
この本はシリコンバレーでエンジニアをしているという人間が多額の予算をかけておこなった自己研究に基づいており、何か科学的なエビデンスがあったわけではありません。
最近出た津川友介さんの本では上述の本で紹介されていたバターコーヒー、別称完全無欠コーヒーは何のエビデンスにも基づいてないと批判する一方、真に科学的な(エビデンスに基づいた)ダイエット法/健康法はコレであるというのが明確に述べられています。
僕はアメリカにおけるアカデミックなコンセンサスを探るため、津川さんの本と合わせてマイケル・グレガー博士のHow not to die(邦題:食事のせいで、死なないために)を読んで勉強した結果、推奨される食べ物はほとんど似通っていて、アカデミックな世界ではもう割と結論が出ているのだということがわかりました。
中でも津川さんの本は、「健康的であること」の他にも「どうやったら痩せることができるか」にも焦点があてられているので、ダイエット本としてもオススメできます。結論としては、健康的な食事はダイエットにも良いというのがありがたい話ですね。
この記事では、具体的にどのような食事法が健康によくダイエットにも良いのか、アカデミックな結論をまとめていきます。
デブは必ずブックマークしておくように。
Contents
はじめに。精神論によるダイエットは失敗する!
まずはじめに、これは以前から僕もよく言うことですが、ひたすら我慢するタイプのダイエットはやめましょう。
我慢した分はそのうち爆発し、統計的にも無理なことがわかっているからです。
デブは審美的に醜いし健康にも悪いので治すべきですが、デブが怠惰ゆえにデブであるというような考え方は誤りです。
前にも紹介した本、橘玲さんの「言ってはいけない」によれば、体重が遺伝で決定される割合は74%で、これは身長の66%よりも高い数値です。
つまり、すべての人が自分の好きなように食生活を送っていても、全く太らない人と太り続ける人に自然と分かれてくるというわけですね。
26%は環境によって決まるならやはり努力が足りないのだみたいに言う人もいるかもしれませんが、そういう人は例えば勉強などにおいても死ぬほど努力をして東大に合格した方なんでしょう、、たぶん。
ここでは便宜的に人が自分にとって自然な食生活を送った時に実現される体重を平衡体重とでも呼ぶことにしましょう。
平衡体重はそもそもの体質によって大きく違いますし、年齢によっても違います。
このダイエットの目的は、何か特別な精神力などを前提にせずに、無理なく健康的な平衡体重以下の体重を実現することです。
僕たちが食欲を我慢しないで済むためには、食べても体重が増えるものと増えないものに関する正しい知識が重要です。
食べることは基本的にゼロサムゲームなのだ。つまり、なにかを食べると決めることは別のなにかを食べないと決めることでもある。
グレガー先生もこのように言っていますし、僕らが普段食べているものの中で有害なものを、無理のないように無害なものに置き換えていくのが正しいダイエット法というわけですね。
では具体的に何を食べればいいのかみていきましょう。
食べていいもの
世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事からのデータ
まずは津川先生の本に載っている、エビデンスのレベルによってその食品が健康的かどうかを分類された表を掲載します。
出所:世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
上にいくほど高い確度で健康によく、下にいくほど高い確度で健康に悪いことがわかっている食品となります。
近年よくみる(そして僕もその信者だった)低糖質ダイエットあるいは炭水化物抜きダイエットと共通する点は白い炭水化物(白米、パスタ、うどんなど)が健康に悪いとされていることですが、こちらでは牛肉や豚肉などもNGとされている点や、逆に低糖質ダイエットではNGとされていた果物がOKとされている点に注目です。
低糖質ダイエットの理論によれば、肉は基本的に血糖値をあげないので痩せるはずでしたが実際はどうなんでしょうか?
出所:世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
実際はこのように、赤い肉を食べていた人は太っている傾向があったし、未加工の果物を食べていた人は痩せていた傾向があったそうです。
ここに載っている食品すべてに体重との因果関係があるのかどうかはともかくとして、先ほどの健康エビデンス上位のナッツ、野菜、果物などはほとんどが低い体重との相関があったことがわかります。
また炭水化物は精製された白米や小麦粉のパンではなく、玄米、全粒粉、蕎麦粉の比率の高い蕎麦などであればまったく問題ないこともわかりました。
津川先生のおっしゃっていることで重要な点は、成分信仰はやめて食品単位で考えよということです。
例えば同じ果糖でも、果物を食べるのとフルーツジュースを飲むのでは一緒に取る食物繊維などがまったく異なるために僕たちの体に与える影響も違ってきます。
食事のせいで、死なないために(How not to die)のデータ
まずは、信号機の青・黄・赤によって危険度を示した表をみてみましょう。
出所:食事のせいで、死なないために
こうしてみると、先ほどの津川先生による説明とほとんど一緒ですね。
肉の中でもハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪いとされている一方、野菜、果物、ナッツ、茶色炭水化物はどれも青信号となっています。
グレガー先生が推奨する1日の食事は次のリストです。
出所:食事のせいで、死なないために
それぞれの項目で具体的にどんな選択肢があるかは本の中で詳しく書いてあるので、興味のある方は読んでみてください。
やはり注目すべき点は果物をたくさん取ることを推奨しているところと、穀物はやはり全粒(精製されてないもの)が推奨されていることです。
砂糖の代替的な摂取方法について
砂糖はもちろん血糖値をあげてしまう糖質なのでできるだけ避けたほうがいいわけですが、そういうわけにもいきません。
僕は基本的に甘党なため、コーヒーも砂糖なしで飲むことができませんし、何かしら甘味料が必要ですがパルスイートなどの製品に代表される人工甘味料、アスパルテームは危険といわれています。
そこでオススメなのは人工甘味料エリスリトールと羅漢果から作られているラカントという商品です。
グレガー先生の解説では、エリスリトールは虫歯の原因にならず、さらに線維筋痛、早産、頭痛、高血圧、脳障害、血小板障害などとの関連性が確認されておらず、抗酸化物質も含まれているということで低カロリー甘味料の中ではもっとも推奨されています。
糖質は悪!は大体正しいが
僕は実際に低糖質ダイエットでこれまで成果をあげることができていたため、糖質は悪!と考えてきましたが、これにはいくつか条件がつくようですね。
白米と玄米でここまで差があるというのには驚きました。
世の中の女性たちはなぜか玄米や五穀米を好む傾向にあるなぁとなんとなく思ってましたが、彼女たちは正しい判断をしていたのですね。。野菜などがオーガニックかどうかでは大して栄養価に差はないみたいですけども。
低糖質ダイエットと比べると、蕎麦が食べることができる点が僕にとっては大きなメリットで、10割蕎麦をたくさん買って毎日のように食べています。
お米がないと生きていけない!というタイプの人は代わりに玄米を食べるようにするのがいいでしょう。
パンにも全粒粉やライ麦を含む茶色いパンがありますが僕的には味がいまいちです。
デザートは果物なら相当量を食べても大丈夫なのでいままでのダイエットよりもだいぶ楽だという実感がありますね。
実際にぶどう、バナナ、グレープフルーツを毎日食べるようにしていますが今のところ体重はまったく増えていないどころか減っています。
何より健康とダイエットを両立できるところがいいですね。
ちなみにどうでもいい話ですが、英語でダイエットというときは単に減量のことを意味するのではなく、トータルな食習慣の改善を意味します。
津川さんの本は日本人向けに書かれているという意味でもオススメですし、真の意味でのダイエットに皆さんもぜひチャレンジしてみてくださいな。
デブックマークしました!
このブログ、株がメインだっけ?ってくらい濃厚な記事で美味しく学べました。
わさビーフの量減らします。
天国猫さん
デブックマークどうも!
好きなわさビーフが好きなだけ食べられないなんて、人生悲しすぎますね。
真面目な投資記事も勉強になりますが、こういう豆知識的な記事も非常に為になります。
質問があるのですが、ホエイプロテインやソイプロテインはやはりあまり体に良くない(グループ4〜5に位置する)でしょうか?結構意識せずにがぶがぶ飲んでるんですが、hiroさんの見解がお聞きしたいです。
俺としてはホエイ=乳製品扱い、ソイ=豆扱いと考えたいですが、考え方によってはプロテイン=超加工された食品と考えられなくも無いので……。
Nさん
ありがとうございます。
ご質問の内容ですが、率直に申し上げて僕は専門家ではないのでよくわかりません。笑
まあでもそれを前提として、本に書いてあったことから考えるとプロテイン製品は分類するならもちろん加工食品にあたるだろうと思います。
津川先生とグレガー博士の本の内容で少し異なっている点として、津川先生はタンパク質など栄養素で考えると間違えるから食品別に良いか悪いかを考えるべきと言っている(例えばサプリは効果がない場合が多い)のにたいして、グレガー博士はあくまで栄養素を基本とした語り口になっている気がします。
個別にプロテインがどうかはどちらの本にも載ってなかったと思うので、なんともいえないですね。
科学的に安全だという結論が出てないからといって、体に有害であるとは限らないので、よくわからないというのが正直なところなんじゃないですかね。。。
すいません。
津川先生やグレガー博士について詳しくは無いですが、主張していることが異なることは興味深いですね。
自分はどちらかと言うと後者よりな考えなので、プロテインも是だと考えていました。
でも結局のところ、安全かどうかで判断するのは程々にしておいて、自分の食べたいものを食べるのが一番なんですかね〜。
バフェットとか見てるとそんなことを考えてしまいます(笑)
私は中性脂肪が概ね50前後でかなり痩せています
しかしLDLは高めで要精密検査と健診で指摘されることがありました(現在ではコレステロールの評価基準は緩和されている様ですが)
LDLと肥満との間には相当因果関係は認められない様です