おそらく、当サイトをご覧になっている皆さんであれば、「保険が平均的に損」であるという事実を疑う人はいないでしょう。
大体の人の認識は、
「保険は平均的には損をするが、お金に余裕のない人は生活の保障のためには仕方ないから加入したほうがいい。」
くらいではないかと思います。
でも、僕はこのレベルでも保険という商品には疑問を抱いています。
まずはマクロに考えてみよう
「お金持ちは保険は必要ないが、貧乏人には保険が必要である。
万が一の時に、お金持ちは資産を取り崩せばいいが貧乏人はそれで人生が終わってしまうからだ。」
これって本当でしょうか?
確かに保険には人々のリスクをヘッジし、資産を平準化する機能があります。
ですが、もっと俯瞰的にみれば、お金持ちは保険を利用せずにその分を資産運用に回せるので財産は増え続け、貧乏な人が保険を購入し続ければ両者の差はより一層拡大していきます。
僕が「貧乏な人は保険が必要」論者の人が見落としていると思うのは、その貧乏な人がこの先の人生を、今の資産のままでは生きていけない可能性です。
例えば貧乏な人が40代でリストラされたときに、保険に入らずに株などで資産を運用しておけばまだなんとかなった可能性とかもありますよね?
保険というのは人生の中の個別のリスクに対応した商品であり、リストラなど全てのリスクをカバーすることはできませんので、何かの保険に入るということは、(資産が減るので)相対的に他のリスクへの耐性を弱めるということでもあります。
貧乏人は保険が必要論は、貧乏人同士で資産を平準化しつつ、その一部を保険会社が抜き取るようなシステムを作り上げてしまうので、全体として本当にそれで救われる人が増えるのかは僕には疑問です。
重要なのは、むしろ逆に、貧乏な人の総資産を底上げしてあげるような仕組みなのではないでしょうか?
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さて、ここまでが導入編です。
これが僕の保険商品に対するざっくりとしたイメージであり、前提となっている考え方です。
でも、もちろん中にはある程度余裕があるし、あまりに大きなリスクは消しておきたいというような需要もあるでしょう。
基本的に保険は悪であるという認識はありますが、最小限に留めることを条件にすれば全てを一概に否定するわけではありません。
ここからは個別に考えていきましょう。
医療保険は不要である
このサイトでもよく取り上げる株式投資の定番バイブル、「ウォール街のランダム・ウォーカー」では保険に入ることは重要と書かれています。
しかし、これはアメリカ人と日本人の社会保障制度に大きな差があるためであって、僕はガン保険のようなものをはじめ、医療保険はまったく必要ないと思っています。
というのも、アメリカは国民皆保険のような制度がなく自分で民間の保険に入らなければなりませんが、日本人は最初から最低限の保険には加入することになっているためです。
また、医療保険を考える上で大きいのが高額療養費制度です。
日本の健康保険には、1ヶ月の医療費が上限額(8万円くらい)を超えた場合はそれ以上は保険で負担してもらえるという制度が付帯してきます。
保険というのはそもそも、予想外の大きな出費に備えるためのものなのですから、それが健康保険でカバーされている以上、医療保険をわざわざ自分で契約するメリットはほとんどありません。
生命保険は掛け捨てを選ぼう
僕が唯一、条件付きで正当化できるかなと思うのが生命保険です。
家族をお持ちの方の場合は、一家の大黒柱として自分が死んでしまったときは家族にお金を残してあげたいという思いがある人もいるでしょう。
自分が死んだ後、果たして世界は持続するのか?自分が認識できない世界が存在するというのはどのような意味か?というような哲学的な問いは残るにせよ、「俺はお前らのことをきちんと考えているんだぞ」というポーズにもなります。
ただし、生命保険も貯蓄機能付き商品などと呼ばれる、悪質な商品で溢れていることを覚えておけなければなりません。
中には「保障」と「貯蓄」の機能を合わせても保険料の5割程度にしかならない商品もあり、よくて6~7割とも言われています。
購入した段階で資産は保険料の3割ほどは期待値として目減りすることを考えた上で、安価な掛け捨ての商品を狙いましょう。
学費保険、年金保険など
こういったものは論外です。
これらを契約しようとする人は、お金の何たるかがまったくわかっていません。
将来の学費や年金に備えて貯蓄をしようという思いは結構ですが、お金に色をつけて管理することに意味はありません。
必要なのは、今あるお金をお金が必要になる時点までに最大化することであって、ただよりよい運用方法で増やしておけばいいだけの話です。
もちろんこうした商品に加入するということは、保険会社の取り分が引かれるわけですから普通に自分で資産運用したときに比べてリターンが劣ります。
今は楽天VTなどのお手軽に株式に分散投資することができる良質な投資信託も増えてきており、また積立NISAを使うことで初心者でも安心して市場に参加することができます。
結論:ほとんどの保険は不要である
というわけで、ほとんどの保険というのは必要がありません。
保険のリスク平準化の機能は有益になる場合があるにしても、貯蓄性の商品がこんなに多いのはなんでなんでしょう。
人々は、なぜ自分のお金の使いみちをわざわざ限定するのが好きなのでしょうか?
1000円札よりも、使える場所が限定された1000円の食事券のほうが金券ショップにおける価値が低いことからもわかるように、お金に使途の自由があるというのはそれだけでも大きな価値なのです。
人間には制限された自由を楽しもうとしてしまうという悪癖(マゾヒズム)がありますが、経済的な問題においてわざわざ縛りプレイをする必要はどこにもないように思えます。
このような商品を契約するくらいなら、まだGEなどのクソ株に投資しておくなどしたほうが幾分マシであるといえるでしょう。
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