金持ち父さん貧乏父さんという本があります。
ロバート・キヨサキという人によって執筆された本なんですが、実はこの本、ボードゲーム界隈では嫌われています。
この著者はキャッシュフローゲームという名前のボードゲームも制作しているのですが、ボードゲームの範疇を超えて超高額(3万円以上)な上、キャッシュフローゲーム会と称したゲーム会がネットワークビジネスの巣窟になっているからです。
インターネットを眺めてみると、評判もそんなに悪くないし影響された人も多いようなので完全否定はしませんが、僕はあまり良い本ではないと思いました。
不動産情報サイトで見つけた変な記述
先日、僕は不動産投資の情報を調べるためにWEBサーフィンをしていました。
僕は手持ちのキャッシュは大部分を株式で保有しておりそれがベストだと確信していますが、不動産投資には融資を受けやすいメリットがあるため、レバレッジを効かせるなら不動産投資もありかなと思っているからです。
そうすると、
「持ち家は資産ではなく負債!資産とは持っているだけでお金を生み出すもの!負債とは逆に持っているだけでお金を減らすもの!」
というような記述をたくさん見つけました。
これって、少しでも財務について知っている人が見ると違和感があるんです。
バランスシートというのは、左半分の資産と右半分の負債+資本(純資産)が等しくなるが故にバランスシートと呼ばれています。
つまり、住宅ローンで家を買うということは左半分の資産と右半分の負債が同時に増えるのであって、資産だけが増えるわけでも負債だけが増えるわけでもありません。
実際に、家を買うと賃貸料を払わなくていいようになる資産としてのメリットと、住宅ローンの金利を払わなければならない負債としてのデメリットの両側がありますよね?
あまりにこの記述をよくみるのでその元ネタを探っていたら、「金持ち父さん貧乏父さん」だったというわけです。
持ち家は本当に負債だろうか?
著者は、持ち家は以下の定義により資産ではなく負債だと主張します。
資産→あなたのポケットにお金を入れてくれるもの
負債→あなたのポケットからお金を奪っていくもの
でも、著書のこの定義を一旦は受け入れるにしても、持ち家はこの意味においても資産であるように思えます。
持ち家を持っている状態というのは、自分から家賃収入を得てる状態と一緒です。
持ち家ではない不動産投資は家賃収入があるから資産、持ち家は支出しかないから負債だというのは人がなぜ持ち家を買うのかを理解していないのでは?と思ってしまいます。
むしろ一般的には、持ち家の住宅ローンのほうが金利も安いですし、自分が住むことにより空室リスクもなくなるのだから、他の不動産投資と比較して持ち家を否定する理由はあまりないように思います。
投資の啓蒙方法について
リスクを取って投資をすることは大事だという著者の主張には僕も同意します。
でもこれだけを伝えてしまうと、FXで高いレバレッジをかけて取引をしたり、ネットワークビジネスに入ってみたりする人が続出(実際に起きている話です)してしまい、投資において何が重要なのかが伝わりません。
正しい投資対象を見極める能力がある人にとってはいいですが、多くの人にとってはそれが難しいからこそ、労働で無難に財産を築くのが大切というような価値観があるのだと思いますし、そこにはやはり一定の理があるのです。
僕は具体的な方法論に何も言及せず、投資を煽るような本があまりいいとは思いません。
この著者は実際に高額なボードゲームを売ってビジネスをしているわけですが、こういうのを買ってしまう人自体が投資に向いてないのではと思ってしまいます。
ネットワークビジネスだって、「不労所得」という意味ではこの本の主張に沿ったビジネスになってしまいますよね。
よくもわるくも自己啓発本
この本に限らず、自己啓発本ってちょっと薄っぺらい本が多いですよね。
自己啓発本のすべてが悪いとは言いませんが、正直読んで得られるものが少ないと思います。
残念ながら、すでに米株投資を実践されてるみなさんにオススメできるような本ではありませんでした。
僕はいま、不動産投資についても勉強していて、他にオススメしたい本はいくつかあったりするので、そちらは今後記事にしていきたいと思っています。
マルキール、エリスの投資の大原則という本でも自宅への投資は推奨されてますね。
僕も同じ意見です