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バンガード VGTとは
MSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックスのパフォーマンスへの連動を目指した、米国IT株に分散投資するのに最適なETFです。
大型株の中でも、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄が重点的に組み入れられています。
低コストでインデックスへの追従を実現した、パッシブ投資向けのETFです。
保有上位銘柄
Apple(14.7%)、Alphabet(9.8%)、Microsoft(9.3%)、Facebook(6.4%)、Intel(3.3%)と続きます。さすがにITの巨人たちは時価総額も凄い分、構成比率が高くなっていますね。10位以内には、クレジットーカードの決済サービスを提供するVisaやMastercardの名前もあります。構成株式銘柄数は359社です。
産業サブグループ別の構成比率
インターネット ソフトウェア・サービスがトップの19.5%、テクノロジーハードウェア・コンピュータ記憶装置・周辺機器が17.4%、システム・ソフトウェア13.9%、半導体13.2%と続きます。同じIT株でも、ソフトウェア株とハードウェア株ではその収益構造も大きく違うため個別株としてみるときは注意が必要ですね。
経費率
経費率は0.10%です。バンガードのセクター別ETFの中では少しだけ高めの設定のような気もしますが、絶対的にはまったく問題にならない水準です。
シーゲル教授の研究成果
ハイテク株というと、ウォーレン・バフェットのIBM投資の失敗が有名なこともあり、米株投資家にはあまりいい評判がない印象があります。
シーゲル教授もIT投資にはどちらかというとネガティブな見解を示していることが著書からは読み取れます。
しかし、実はITセクターはシーゲル教授による長期のデータにおいても、また最近のデータにおいてもS&P500をアウトパフォームしているのです。
各セクターの市場シェアの変化とリターン(1957年~2003年)
セクター | 市場シェアの
拡大(縮小) |
実質セクター
リターン |
---|---|---|
金融 | 19.87% | 10.58% |
情報技術 | 14.71% | 11.39% |
ヘルスケア | 12.14% | 14.19% |
一般消費財 | -3.28% | 11.09% |
生活必需品 | 5.23% | 13.36% |
資本財 | -1.13% | 10.22% |
エネルギー | -15.68% | 11.32% |
電気通信 | -4.00% | 9.63% |
素材 | -23.06% | 8.18% |
公共事業 | -4.81% | 9.52% |
S&P500 | 0% | 10.85% |
出所:株式投資の未来 著ジェレミー・シーゲル
確かに、IT成長株は投機の対象になりやすいこともあり、ITバブルであったような異常な価格をつけやすいことは事実です。
しかしこのデータを見る限りは、ITセクターのリターンが低いと言うことはできません。
個別のIT成長株に投資をするのは危険な賭けだということはできますが、セクター全体への分散投資であれば、比較的安定して良いリターンをもたらしてくれるはずです。
この株式投資の未来がITバブル崩壊の直後に出版されている点も、ITセクターが数値の割に低い評価をされている要因といえるのではないでしょうか。
ただし、シーゲル教授の一貫した主張である、「成長してる株が儲かるのではなく、期待と成長の差が大きい株が儲かる」という言葉を忘れてはいけません。
このデータを自分の投資に生かしたいと考えているならば、アマゾン、エヌビディアなどの成長株に飛びつくのではなく、当ETFのような幅広い分散投資に留めるべきでしょう。
市場平均との比較
VGTの設定日は2004/1/26です。バンガードの資料では、設定来からのトータルリターン(年)は8.64%となっています。
さっそくS&Pのトータルリターンとくらべてみましょう。
3年 | 5年 | 10年 | |
---|---|---|---|
VGT | 16.16% | 16.65% | 10.95% |
S&P500TR | 9.92% | 13.79% | 7.37% |
ここ10年のトータルリターンをみると、大幅に市場平均をアウトパフォームしています。
直近5年の成績はさすがに出来すぎという感じもありますが、長期の成績においても優秀なリターンをキープできています。
過去のリターンを重視する方であれば、オススメのETFといえると思います。
リーマンショック時の最大下落幅(リーマンショック前日の2008/9/14から起算)はS&P500がおよそ-46%だったのに対して、VGTは-39%程度でした。
当サイトのVGT評価
総合評価
期待リターン | ★★★★★ |
---|---|
リスクの低さ | ★★☆☆☆ |
経費コスト | ★★★★☆ |
将来予測 | ★★★★☆ |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
評価理由
VGTは、米国市場の成長エンジンを取り込めるオススメETFです。
当サイトのポートフォリオは採用されていませんが、VBR(10%)の枠の代替案として推奨しています。
IT企業というと、僕たちはグーグルやアマゾンなどの成長企業をイメージしますが、このセクターにも多種多様な企業が含まれています。
例えば、VisaやMastercardなどは決済システムを提供している会社ですが、その圧倒的な収益構造により、安定性の高い株を好む投資家にとっても魅力的な株といえます。
また、アメリカのIT企業の特徴は、新しいプラットフォームを作り上げてそこから継続的に収益を得ることのできる仕組みを作り上げてしまうのが巧みなところにあります。
いまとなっては誰もが持っているスマホのOSはAppleやGoogleによって開発されていますが、いずれもアプリの製造はサードパーティにも開放し、売上を最大3割程度まで手数料として取るようなビジネスです。
こうした収益構造をすでに持っている企業への投資というのは、最先端技術を開発しているような企業への成長株投資のようなイメージとは一線を画するものです。
それに加えて僕は、今後のITセクターの成長性も申し分のないものになるだろうと予測しています。
これから先の僕たちの生活は、より多くのソフトウェアに囲まれたものになるでしょう。
車はこれまでは動力をベースにしたハードウェアでしたが、これからは車の自動制御、また車内での娯楽環境などに注目が集まっていくことになります。
医療や介護などの高齢化社会での成長が見込まれる分野においても、AIロボットが人間の生活を助けてくれるようになるでしょう。
軍事でも軍用機はどんどん無人化が進んでおり、すでにソフトウェアがその優劣を決めるようになってきています。
僕は以前はシステムエンジニアをしていたのですが、当時から感じていたのは、やはりアメリカの技術力は群を抜いて素晴らしいということでした。
最先端の技術というのは全て英語で学ばなければならないことへの障壁もあり、日本のIT企業というのはどうしても数手遅れている印象があります。
懸念としては、やはりこうした成長の見込まれる分野であり注目を浴びやすいだけに、割高なPERになってないかは注意を向けないといけません。
また、景気によって左右されやすい特徴もあるので、安定したポートフォリオにするためには少量だけ混ぜてリターンを底上げするような、スパイスとしての採用を推奨します。
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