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シーゲル流ポートフォリオについて
僕が目指しているポートフォリオを公開します。
以下の記述はシーゲル教授の株式投資第4版、株式投資の未来に書かれていることを前提として、昨今の相場の傾向を踏まえつつ日本人向けにアレンジしたものです。
ネット上にもシーゲル本に影響を受けた方が数多くおり、それぞれのポートフォリオを公開していますが、一部シーゲル氏の主張を無視して米株1本で良いのだというような記述が目立ちます。
シーゲル氏は成長の罠という言葉で新興国への過大な期待を牽制する一方で、世界的に米国のマーケットが占める割合が今後低下していく旨についても言及があり、世界への分散投資が基本である論旨は株式投資第4版、株式投資の未来の両著で一貫しています。
僕自身も、ポートフォリオの半分で世界分散の下地をつくり、残り半分でリターンを補完していくという戦略は、リスクとリターンのバランスの取れた素晴らしいコンセプトだと思っています。
構成ETF紹介
ひとつひとつ解説していきます。
VT – 世界分散投資 (30%)
シーゲル氏の「時期によって利回りの良かった国は異なる。広く分散投資をしたものがより多くの果実を得るだろう。」という予言に従った、このポートフォリオのベース部分です。VTの構成として、米株が50%程度あるので、このポートフォリオ全体における米株の割合はおよそ65%となっています。
ポートフォリオ全体に占める新興国の割合は低めになるので、今後の中国、インドの台頭を見越しておきたい人などはVWO+VTI+VEAなどで割合を調節しても構いません。
日本債権・日本株(各10%)
シーゲル氏のポートフォリオには存在しない、日本人による投資であることを考慮した部分です。僕自身は、為替変動というのはむしろ長期的には各国のインフレ格差を調整してくれるバランサーであり、過度に心配すべきでない(詳しくは下記リンク参照)と考えていますが、短・中期的には本来の通貨バランスが現れないリスクが存在すると考えています。もし緊急でお金が必要になった場合の世界同時株安などを担保しているのが債権ですので、投資資金を安定して長期で運用できるのであれば日本株20%でも構いません。投資資金のうち2割を円建てで持つことで、為替の不意な変動リスクもマイルドになります。
また、日本株は過去米株との相関係数がEU各国に比べて低めだったというデータもあり、米株からの分散先にも優れています。シーゲル氏の研究成果は米株の過去データに基づいており、日本でもそっくり同じセクターなどが高利回りとはならない可能性もあるため、インデックスファンドを推奨します。
VDC、VHT – セクター別投資(各15%)
シーゲル派にはおなじみの生活必需品、ヘルスケアセクターです。この2つのセクターは、株式投資の未来が出版されて以降も安定して高利回りを叩き出しており、シーゲル氏の研究の成果が確実に現れています。VDCはディフェンシブ銘柄として標準偏差も低く、VHTは今後さらなる成長の期待できるバイオ株を多く含んでいます。シーゲル派であれば、この2つをポートフォリオに入れないのは考えられません。
また、NISA枠は、120万円以上の再投資ができないため、配当が少なく株価自体が成長する銘柄が好ましいと考えていますが、VHTは成長率に対しての配当が少なめなので最もNISA向きではないかと考えています(下記リンク参照)。
VBR – 小型バリュー株投資(10%)
シーゲル派の中でも、比較的意見の割れやすい部分ではないでしょうか。株式投資第4版で公開されていた小型バリュー株の過去成績の良さが根拠となっている部分です。とはいえ、VDCやVHTと比べるとここ10年ほどの成績はパッとしない部分があります。
また、標準偏差が高めなので安定性が低い傾向があります。僕はここ数年の傾向よりは長期的なデータを重視したいので1割をここに割いています。VIOVも検討しましたが、VBRのほうがシーゲル氏のデータ上では優れていると判断しました。
VYM – 高配当株投資(10%)
こちらもシーゲル派ならば外せない銘柄でしょう。高配当の銘柄を再投資していくことが高利回りを叩き出しているのは長期に渡ってのファクトです。HDVよりもVYMのほうが分散先が広く、よりインデックスに近い動きになっています。HDVは生活必需品、ヘルスケアの割合が多く、このポートフォリオだとセクターが偏ってしまうためVYMが採用されています。もしVDCやVHTを採用しないポートフォリオであれば、HDVを推薦します。
検討されたが不採用となったETF
他、ポートフォリオに入らなかった気になる銘柄など
VDE – エネルギセクター投資
シーゲル推奨のポートフォリオに入っていたエネルギーセクターですが、原油安の影響もあり、ここ10年の成績があまりに悪いので抜いています。市場平均を大幅にアンダーパフォームしています。逆に投資のチャンスと捉える方もいるでしょうが、産業構造の変化に伴って、既存のエネルギー産業の不況が長引く可能性もあるため、リスクが高めであると判断しています。
IXN – グローバル株投資
シーゲル推奨のグローバル株枠です。VBRの代わりにこちらを入れるのもありかもしれません。ここ10年の利回りもそれほど悪くありません。
VGT – ITセクター投資
シーゲルをはじめ、バフェットなどの投資家も回避してきたIT株です。実はここ10年の推移をみると大幅に市場平均をアウトパフォームしています。最近はバフェットがアップル株を購入したことなども話題となり、長期投資におけるIT株の位置づけもかわりつつあるといえるのかもしれません。
REIT – 不動産投資
シーゲル本でも少しだけ触れられていた、REITへの分散投資も考えたました。しかし、REITはそれ自体のリスクのバラ付きが大きく、かつ株式との相関も相当に高い印象があり、リスクの分散として弱いと考えてポートフォリオには含めませんでした。アメリカの不動産に投資するETFだとIYRなどがあります。
より保守的なポートフォリオを考えるのであれば、少量(5%程度)ポートフォリオにいれるのが望ましいかと思います。
ポートフォリオのリスクを調整するには
このポートフォリオにはリスク資産しか含まれていませんが、現金や国債などの無リスク資産を別途用意して、リスク資産と無リスク資産の比率を変化させることによってリスクを調整することができます。詳細はこちらの記事をごらんください。
シーゲル流をより深く議論する
当サイトでは、なぜシーゲル流に投資をすべきなのかということや、あえてシーゲル流にどんな問題が考えられるかの記事を取り上げることによって、読者の方々にはご納得をいただいた上でこのポートフォリオを採用していただきたいと考えています。もしあなたのシーゲル流ポートフォリオへの疑念が強く賛同できないのであれば、完全なインデックス投資という選択肢も存在しているのですから。
初めまして。
北欧諸国を中心に投資しております。テレノール、ノルデア銀行など日本にはなじみのない株がメインですが、日本やアメリカ株にも目を向けたいと思いこのブログにたどり着きました。バフェット太郎さんと違ってよりアグレッシブなスタンスなのですね。
さて、このポートフォリオの中で 日本債券、日本株があります。これは、日本外では逆に何を買えばいいのでしょうか。日本株はEWJ位?、債券のETFは?です。VTを分解して、VTI、VGK、VWOに分ければ株は解決するかなと思います。比率は、VTの各国比率でよろしいでしょうか。
債券は日本の金利が0%に近いので、FXYで代替できるかなとも思いますが、いかがでしょうか。
よろしければ、ご教示ください。
ところで、日本ではノルデア銀行のしろくま貯金箱が売られているのに驚きました。銀行の景品なのに。
snafkinさん
はじめまして。北欧投資楽しそうでいいですね!
僕も一時期スウェーデンの株を買いたいなーとか思いましたが簡単には買えないようだったので諦めました。
バフェット太郎さんは大型株の10銘柄ポートフォリオですが、僕は分散型インデックス系のETFがメインなのでこのポートフォリオはむしろもっとディフェンシブな気がします。
他の記事で紹介している可変レバレッジドポートフォリオなどはかなりアグレッシブですけども。
日本株についてですが、日本株を買うなら別に海外ETFである必要もないかなと思い、特に指定をしていません。
基本的には国内のインデックス投信などを買う想定でしょうか。
もちろんEWjを買ったり、めんどくさいので右半分の部分はすべてVTで置換とかでも大丈夫です。
日本債券についてですが、おっしゃる通り日本はゼロ金利に近いのであまりリターンは期待できませんが、国内の低手数料の債券ファンドにいれておくのは現金よりはマシかなというところでしょうか。
記事中にも書いた通り、このあたりはリスク許容度や資産がドルに偏ることへの考え方が人それぞれあると思いますので、必ずしも必要な枠ではなくて、日本株に変えたり米国債などに変えたりする方法もあります。
シーゲル教授が本で推奨していたポートフォリオのうち、20%ほどを円資産に変えたものがこのポートフォリオ、という感じですね。VTの割合だと8%くらいで、50%の8%で4%しか日本株比率がないことになりますので、為替リスクを気にする方にとっては国内投信や債券はありうる選択肢だと思います。