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バンガード VHTとは
MSCI USインベスタブル・マーケット・ヘルスケア25/50インデックスへの連動を目指した、ヘルスケアセクター株に分散投資するのに最適なETFです。
低コストでインデックスへの追従を実現した、パッシブ投資向けのETFです。
保有上位銘柄
Johnson & Johnson(10.2%)、Pfizer Inc(6.3%)、Merck & Co(5.3%)、UnitedHealth Group(4.8%)、Amgen(3.7%)と続きます。1位の構成比率は10%超と大きくなっていますが、ディフェンシブ銘柄の代表格ともされるジョンソン&ジョンソンであれば安心ですね。2位以下も有名な会社が名を連ねています。構成株式銘柄数は358社です。
セクター内産業サブグループの構成比率
医薬品がトップの32.9%、バイオテクノロジー22.3%、ヘルスケア機器18.1%、管理健康医療10.2%、ライフサイエンス・ツール/サービス5.4%と続きます。
ヘルスケア業界は不況に強くディフェンシブなセクターと言われる一方で、医薬品メーカーには新薬開発における莫大なコストや訴訟リスクなどがあり、企業単位での当たり外れが大きい印象もありますが、幅広く分散投資を実現できる当ETFであればリスクを分散することができます。
経費率
経費率は0.10%です。バンガードのETFの経費率はどれも格安設定で、VHTも例外ではありません。
類似ETFとの比較
VHTにはステート・ストリート・グローバル・マーケッツ社から出ているXLVという類似ETFがあります。
さっそく重要と思われるデータを比較しています。
基本データ
ティッカー | 経費率 | 組入銘柄数 | 平均出来高 |
---|---|---|---|
VHT | 0.10% | 358 | 176,187 |
XLV | 0.14% | 64 | 6,905,978 |
期間毎の年間リターン(配当込み)
ティッカー | 3年 | 5年 | 10年 |
---|---|---|---|
VHT | 10.44% | 18.15% | 11.52% |
XLV | 9.98% | 17.76% | 10.92% |
こうして並べてみると、出来高以外の項目についてはVHTのほうが良い数字にみえます。
組入銘柄数がVHTのほうが圧倒的に多く、ヘルスケアセクター全体に幅広く分散されているので固有の企業の業績にリターンが左右されにくく、よりヘルスケアセクター全体の高リターン性をそのまま反映できると考えられます。
平均出来高の少なさは気になるところですが、そこまで心配するほどの数字でもないでしょう。
一般的に所持する量の100倍の出来高があれば大丈夫というのを目安にするべきという話がありますが、その原則に基づいて現在の出来高と株価から考えると、およそ3000万円の投資額までなら大丈夫ということになります。
基本的には当サイトとしてはVHTをオススメしますが、64銘柄では分散投資として少なすぎるというわけでもないですし、もし出来高を心配される方や3000万円以上の額をこのセクターに投資したい方は、XLVを考えてもよいのではないかと思います。
シーゲル教授の研究成果
1999年、スタンダード&プアーズとモルガン・スタンレーにより開発されたセクター分類制度、GICS(世界産業分類基準)を制定しました。
その中のヘルスケアセクターは、10種類のセクターの中で第1位のリターンとなっています。
過去半世紀を対象としたシーゲル教授の研究では、ヘルスケアセクターと生活必需品セクターのリターンは突出しており、それぞれ13.76%、13.36%のリターンをもたらしています。
次の表は、S&P500の初代採用銘柄とその後継企業を、GICS分類に則って調査をした結果です。
各セクターの市場シェアの変化とリターン(1957年~2003年)
セクター | 市場シェアの
拡大(縮小) |
実質セクター
リターン |
---|---|---|
金融 | 19.87% | 10.58% |
情報技術 | 14.71% | 11.39% |
ヘルスケア | 12.14% | 14.19% |
一般消費財 | -3.28% | 11.09% |
生活必需品 | 5.23% | 13.36% |
資本財 | -1.13% | 10.22% |
エネルギー | -15.68% | 11.32% |
電気通信 | -4.00% | 9.63% |
素材 | -23.06% | 8.18% |
公共事業 | -4.81% | 9.52% |
S&P500 | 0% | 10.85% |
ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」より
シーゲル教授の研究成果で判明した事実としてひとつ、面白い点があります。
いくら市場シェアが拡大しているセクターであっても、それに対する期待が過大な場合はリターンに結びつかないということです。
この間、もっとも市場規模を拡大したセクターは金融セクターでしたが、リターンは平均程度にとどまっています。
新興国、新興セクター、新興企業などに投資する際には、常にそのことを頭にいれておく必要があるでしょう。
過去の実績
VHTの設定日は2004/1/26です。バンガードの資料では、設定来からのトータルリターン(年)は9.38%と好調です。
S&Pの推移とくらべてみると、近年も大きく市場平均を引き離しています。
ヘルスケアセクターの一つのメリットは、下落相場にたいする強さです。
不況時にも生活必需品的な側面のある企業が含まれるため、ディフェンシブなセクターとしても有名です。
リーマンショック時の最大下落幅(リーマンショック前日の2008/9/14から起算)はS&P500がおよそ-46%だったのに対して、-32%程度でした。
注意点としては、2015年にバイオテクノロジーバブルが弾けて大きく下落する局面がありました。
バイオテクノロジーはこれからの発展が期待される分野であるだけに、期待が過大になりやすい点は頭にいれておかなければなりません。
また、ヘルスケアセクターの月間標準偏差(リスク)は生活必需品セクターと比べてそこまで低い数値ではありません。
米株投資家にもかつて人気のあったギリアド・サイエンシズが長らく下落相場を経験したことも記憶に新しく、医薬品ビジネスにはリスキーな側面も含まれます。
下落相場に強いディフェンシブな側面と、グロース的な側面の両面性のある面白いセクターであるといえます。
当サイトのVHT評価
総合評価
期待リターン | ★★★★★ |
---|---|
リスクの低さ | ★★★★☆ |
経費コスト | ★★★★☆ |
将来予測 | ★★★★★ |
おすすめ度 | ★★★★★ |
評価理由
VHTというETFは、当サイトが現時点でもっともオススメしているETFです。
当サイトのポートフォリオにおいても、15%の比率で組み入れています。
統計の世界には、前向き研究と後ろ向き研究という言葉があり、前向き研究とはこれから起きる事象についての調査、後ろ向き研究とは過去の事象についての調査を意味します。
後ろ向き研究では研究者による様々なバイアスが入りやすいため、シーゲル教授の理論が正しいのかをより深く検証するためには、彼の理論が発表された後のリターンを調べてみる必要があります。
そしてすでに紹介した通り、その研究成果が発表された書籍である「株式投資の未来」出版後においても、ヘルスケアセクターと生活必需品セクターは目覚ましいリターンを継続しているのです。
ここ10年のリターンは11.52%にも達しており、今後もPERが過大な水準に達しない限りは高リターンを期待してよいでしょう。
またヘルスケアセクターにはこれからの社会においても好条件が溢れています。
日本をはじめとして、欧米先進国、そして米国もこれから高齢化社会に突入し、ますますヘルスケアセクターの経済規模は拡大していくでしょう。
医薬品、病院、介護施設などはもちろん、医療機器などの企業にも期待が持てそうです。
アメリカは予防医療の先進国とも言われますが、これからはアンチエイジングなどの分野もますます注目を浴びていくのではないでしょうか。
VHTの構成として23%ほどを占めるバイオテクノロジー分野も確実にこれから発展を遂げる業界です。遺伝子操作などの技術の倫理的な社会不安が解消されるに従って、その応用範囲は医療、食をはじめあらゆる業界に広がっていくものと思われます。
どの企業が成長を遂げるのかを予想するのは非常に難しい業界ですが、分散度の高いVHTならその点も安心で、ヘルスケアセクター全体の発展を確実に取り込むことができます。
VHTの特徴である総リターンに対する配当の比率が低い点はNISA向きの銘柄とも言えるので、NISAの銘柄でまだ迷っている方にもよい選択となるでしょう。
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