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バンガード VTIとは
CRSP USトータル・マーケット・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指した、米国市場全体への分散投資に最適なETFです。
低コストでインデックスへの追従を実現した、パッシブ投資向けのETFです。
保有上位銘柄
AAPL(アップル)2.9%、GOOG、(アルファベット)2.0%、MSFT(マイクロソフト)、2.0%、AMZN(アマゾン)1.5%、XOM(エクソン・モービル)1.4%と続きます。
こうしてみるとIT関連株が多いような気がしますが、IT企業の上位は時価総額が高いためです。セクター別の構成比率としては金融がトップで20.3%、次点がITで17.3%となります。構成銘柄数は3,601社にものぼっており、構成比率トップの銘柄の割合でも2.9%ですので、幅広く分散投資されていることがわかります。
経費率
0.04%と、最安レベルです。もうほとんどタダみたいなもん。
どのETFにもリターンには幅がありますが、経費率の低さは常に一定の割合で結果として響いてきます。
経費率の安さはVTIを選ぶ上で最大のメリットのうちの一つです。
類似ETFとの比較
同じバンガード社からは、S&P500指数を連動指標としたVOOがあります。
ブラックロック社からは、同じくS&P500指数を連動指標としたIVVが販売されています。
VTI、VOO、IVVの比較
経費率は全てのETFで0.04%と、差がありません。
VOOとIVVでは、追従するインデックスがS&P500となっているので大型株が中心となっていますが、VTIは中、小型株まで幅広く分散されている点が最大の違いです。
VOO、VTI、IVVの推移を比較したものがこちらのグラフです(配当除く)。
見ればわかる通り、ほとんど差がないのでどれを選んでもいいですが、あえてオススメをするなら、VTIを推します。
VOO、IVVには小型株が含まれませんが、VTIは小型株が含まれている分、高いリターンが期待できるためです。
過去の実績
過去10年間のリターンは7.69%、設定日である2001年以来のリターンは6.59%と及第点といったところです。
ここ3年のリターンは9.70%と米経済の好調ぶりが伺えます。
次のグラフは、アメリカ市場を代表するVTI、日本市場を代表するEWJ、欧州経済を代表するVGKの直近10年間の比較データです(配当除く)。
青線がアメリカ、緑線が日本、紫線が欧州です。
2008年の世界同時株安を経ていち早く経済回復を成し遂げたのは、リーマンショックの震源地であったはずのアメリカでした。
長期投資家にとっても、株価の暴落局面というのはどうしても内心怖くなってしまうものですが、こうしたデータは米株投資家に勇気を与えてくれます。
リーマンショック時の最大下落幅(リーマンショック前日の2008/9/14から起算)はおよそ-46%でした。
当サイトのVTI評価
総合評価
期待リターン | ★★★☆☆ |
---|---|
リスクの低さ | ★★★☆☆ |
経費コスト | ★★★★★ |
将来予測 | ★★★☆☆ |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
評価理由
VTIというETFは、良くも悪くも平均点を取りにいくためのETFです。
当サイトでは、シーゲル教授の理論を参照して、ポートフォリオの半分では国際分散投資を、残りの半分ではより高リターンの取れるセクターや割安株などを積極的に狙いうちにしていく方針ですので、その意味では買う必然性が低めのETFといえます。
ただ一つお断りしておきたいのは、アメリカ市場において平均点を狙いにいく戦略というのは、決して悪いものではありません。
何度でもお見せしたいグラフですが、
この通り、アメリカの平均点は、200年に渡って上昇を続けてきたのです。
投資対象というのは、過去数年のリターンを見て高いものを選べば良いというわけではありません。
株式市場というのは、分散が高いため数年のリターンからだけではその投資対象の潜在的な価値は全く測れないのです。
しかし、2度の世界大戦をも内包した200年もの歳月を常に一定の速度で上昇してきたということは、統計的な観点からも、その背後に構造的な要因があるとみるべきです。
超長期に渡るアメリカ市場の平均リターンは年およそ6.8%(インフレ調整後)でした。
年平均、インフレ補正を入れた上で6.8%の年利というのは長期運用を考えれば十分な数字であり、平均的な日本人が定年を迎えるまでにきちんと積立投資をしておけば、一般的にお金持ちと呼ばれる水準には十分到達できます。
もしあなたに経済合理性へのより強い信仰があるとするならば、市場の偏りを前提としたシーゲル銘柄ではなくこのVTIをポートフォリオの中心に据えるべきでしょう。
将来への展望
アメリカという国も、日本ほどではないにしろ、近い将来に高齢化社会という問題に直面します。
シーゲル教授も、世界の市場の中心はアメリカから中国、インドなどのアジアへと移行していく旨を予測しています。
高齢化社会の一つの問題点は、老人を対象とした医療費です。
現在はトランプ大統領の元で、オバマケアと呼ばれる全オバマ大統領が断行した医療制度改革案の見直しをしていますが、難航しています。
アメリカという国は、そもそも原点として理念に自由を掲げている国なので、自己責任論のリバタリアニズム的な言説が強く、一律の健康保険のようなシステムへの抵抗感が強いところに特徴があります。
国民皆保険制度を有する僕たちからすると、健康まで自己責任というのは受け入れがたい考え方であるような気もしますが、こうしたところに彼らの強さがあるともいえるのです。
他の不安要素としては、トランプ大統領の保護主義的な経済政策もありますが、こちらはあまり心配していません。これまでもグローバル経済を引っ張ってきたのはアメリカでしたし、アメリカに自由の理念がある限り、こういった方向性は長続きしないでしょう。
僕はもともとITエンジニアだったので、ある程度IT業界の内情なども知っています。ガソリン車から電気自動車への移行などますますハードよりもソフトが大事となりつつある経済界において、中国のIT業界の発達ぶりも目を見張るものがありますが、やはりアメリカのソフトウェア業界の競争力はダントツです。
iTunesやVISAなどの決済システム、Youtubeなどの継続的に儲けるためのプラットフォームをいち早く構築する能力にも長けていて、さすが合理主義の国といったところです。
新興国の台頭により相対的にはアメリカ市場は縮小していくことは予測されますが、まだまだ一流の成長力を持った市場だと僕は考えています。
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