それでも買い増しが正しい理由




8/18、アメリカS&P500は大幅に下落しました。

下落幅は今年最大で、恐怖指数と呼ばれるVIXも上昇し、株式市場に悲観的な見通しが広がっています。先日あったバロセロナでのテロに加えて、トランプ大統領の政策実現性への不透明感が再燃し、下落に繋がったようです。

今後も株式市場の下落は続くのでしょうか?

昨日の記事でロバート・シラーの発言があった通り、前回の株価の暴落、リーマンショックから10年近くの月日が流れ、その間のアメリカ経済の躍進は目覚ましいものでした。その結果、いまの株価に割高感をおぼえているのはシラー教授だけでなく、今の市場全体に蔓延している空気としても感じることができます。

最新のシーゲル教授の見解をお伝えします

2017年8月18日

割高局面における考え方

こういった局面で、投資家が考えるのは、

  1. ポジションを一度決済し、現金に変えておく
  2. 株式から金や債権などの景気後退局面に強い資産に変えておく
  3. 手持ちはホールドして買いは控える
  4. 手持ちはホールドして買い増しする

このような選択肢があるでしょうか。

僕が推奨するのはタイトルの通り、4の手持ちホールド&買い増しなのですが、何か売買行動をするのであれば明確なルールが必要です。

ここで読み返すべきなのは、毎度おなじみの「株式投資第4版」です。

シーゲル VS マルキール

実は、ウォール街のランダム・ウォーカーと、株式投資第4版には意見が割れている部分があります。

シーゲル教授は一部のテクニカル分析を条件付きで肯定的にとらえている一方、バートン・マルキールは全否定しているからです。

シーゲル教授は、下記のグラフを示しながら、例えば単純な長期的な移動平均線による取引が有効な場合もあるとしています。

移動平均線のシグナルに沿った取引というのは、バイ&ホールドと比べたときには下降トレンドを回避しよう、という方針といえます。

上記のグラフをみても、リスクが下がってる分、最頻値は0~-5%となっており、売買コストによるリターン低下が大きく影響しているのが伺えます。

このようなルールによる取引というのは、実際に暴落が落ちた時はうまくいく可能性があります。ただし、それまでに無数の騙しシグナルに遭遇する可能性が高く、厳密にルールにもとづいて運用したとしても、何の手間もないバイ&ホールドよりもリターンを押し下げる結果になることも多いのです。

昨日の記事で紹介した、これからの相場に悲観的なシラー教授でさえ、自身のネガティブな見解を発表する前に”Even if there is more rooms to run,(まだ成長の余地は残されているが、)”と前置きをしていたことからも、まだまだ米株が成長を続ける可能性が想定されていることがわかります。

実際に、米株の暴落の危険性はダウ平均が18000台だった2014年頃から継続的に指摘されてきており、その後のダウ平均はこれまで20%もの上昇を遂げてきているのですから。

税金の問題

また、長期投資家にとって、先ほどの選択肢の1や2を実行しようとしたときに大きな問題となるのが税金です。

一度持っている株を手放すということは、せっかく含み益として、後伸ばしにできている税金の支払いをしなければならないということです。複利効果を最大限に得るためには、税金の支払いはなるべく後にしないといけません。

税金の問題が仮にクリアされるとすれば、一定の条件下で手持ちの株を債券に変えておくというのは僕は一定の合理性を認めていますが、金はそれでもオススメしません。債券は仮に市場が成長を続けた場合でもそれなりの期待リターンがありますが、金の期待リターンはゼロだからです。

3の買い控えについては、余計な税金コストがかからないだけマシとはいえますが、株を所有しないで現金を所有するという原理的な意味において1と同じです。

上記のことがらから、現局面においても僕の推奨する投資判断は、選択肢の4、ホールド&継続的な買いです。とはいえ、バフェットやシーゲルなど現局面に楽観的な専門家がいる一方で、シラーなどの悲観派も増えてきた印象はあります。

買い増しをする株においては、米国1本ではなくVTのような世界分散ETF(シラーとシーゲルの対談でもこれからのグローバル投資の重要性に触れていました)、またはVDCやVHTなどのディフェンシブなセクターを中心に選ぶなどの買い方がオススメになるでしょう。先の暴落においても特に落ち幅の大きかったIT分野、VGTなどのETFはあまりオススメしません。

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