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バンガード VDCとは
MSCI USインベスタブル・マーケット・生活必需品25/50インデックスへの連動を目指した、米国生活必需品セクター株に分散投資するのに最適なETFです。
低コストでインデックスへの追従を実現した、パッシブ投資向けのETFです。
保有上位銘柄
Procter & Gamble(10.3%)、Coca-Cola(8.3%)、Philip Morris International(8.3%)、PepsiCo(7.5%)、Altria Group(6.4%)と続きます。飲料メーカー、タバコメーカーが目立ってますね。構成株式銘柄数は103です。
セクター内産業サブグループの構成比率
家庭用品がトップの18.2%、清涼飲料17.8%、タバコ17.7%、包装食品・肉16.8%、大型スーパーマーケット・スーパーマーケット8.7%と続きます。
経費率
経費率は0.10%です。安心のバンガード!!
類似ETFとの比較
VDCにはステート・ストリート・グローバル・マーケッツ社から出ているXLPという類似ETFがあります。
さっそく重要と思われるデータを比較しています。
基本データ
ティッカー | 経費率 | 組入銘柄数 | 平均出来高 |
---|---|---|---|
VDC | 0.10% | 103 | 100,715 |
XLP | 0.14% | 34 | 10,864,480 |
期間毎の年間リターン(配当込み)
ティッカー | 3年 | 5年 | 10年 |
---|---|---|---|
VDC | 8.59% | 11.72% | 9.72% |
XLP | 8.64% | 11.47% | 9.67% |
上位の組込銘柄はほとんど同じですが、XLPは銘柄数が34とETFにしてはかなり少なめになっています。
リターンについても大きな差はなく、
「こんな選択によって成功するかどうかが左右されることはないから、好きな方選びなよ」
というのが僕の正直な気持ちですが、僕の場合はこういうときはバンガードを選んでいます。
理由は、できるだけシーゲル教授の研究内容に近い形(セクター全体への分散投資)での投資形式にしたいことと、同じ投資範囲のときにバンガードの経費率が他の会社を上回ることはまずないからです。
唯一のVDCの懸念は平均出来高の低さですが、ある程度までの投資額であれば基本的に心配しなくても良いでしょう。
もし、億単位のお金をこのセクターに投資するという方であれば、より流動性の高いXLPも考えていいかもしれません。
シーゲル教授の研究成果
生活必需品の市場シェアは過去50年で少し大きくなった程度ですが、リターンではヘルスケアに続いて第2位です。
値動き幅も小さく地味な会社が多いのが特徴ですが、その地味な成長力は投資家が期待しているよりも高く、大きなリターンに結びついているのです。
各セクターの市場シェアの変化とリターン(1957年~2003年)
セクター | 市場シェアの
拡大(縮小) |
実質セクター
リターン |
---|---|---|
金融 | 19.87% | 10.58% |
情報技術 | 14.71% | 11.39% |
ヘルスケア | 12.14% | 14.19% |
一般消費財 | -3.28% | 11.09% |
生活必需品 | 5.23% | 13.36% |
資本財 | -1.13% | 10.22% |
エネルギー | -15.68% | 11.32% |
電気通信 | -4.00% | 9.63% |
素材 | -23.06% | 8.18% |
公共事業 | -4.81% | 9.52% |
S&P500 | 0% | 10.85% |
出所:株式投資の未来 著ジェレミー・シーゲル
シーゲル教授は、
生活必需品セクターは今後とも投資家に卓越したリターンをもたらすとわたしはみている。
と著書の中で明言しており、過去のリターンが高かった企業のリストでも生活必需品を取り扱う企業は大きな割合を占めています。
対象的に、この50年間で消費者の可処分所得は劇的に増えたにもかかわらず、一般消費財セクターのリターンはパッとしませんでした。
アメリカの一般消費財を取り扱うセクターで中心的なのはGMなどの自動車メーカーでしたが、品質において日本企業などと渡り合えず、信頼を得るのに失敗したのが敗因と言われています。
過去の実績
VDCの設定日は2004/1/26です。バンガードの資料では、設定来からのトータルリターン(年)は10.26%となっています。
さっそくS&Pのトータルリターンとくらべてみましょう。
3年 | 5年 | 10年 | |
---|---|---|---|
VDC | 8.64% | 11.82% | 9.75% |
S&P500TR | 12.61% | 14.66% | 7.40% |
ここ10年のトータルリターンをみると、大幅に市場平均をアウトパフォームしています。
生活必需品セクターはその歴史的に突出したリターンはもちろん、値動き幅が安定していることや、暴落時の下落幅も小さくなっているのが大きな魅力です。
リーマンショック時の最大下落幅(リーマンショック前日の2008/9/14から起算)はS&P500がおよそ-46%だったのに対して、VGTは-27%程度でした。
当サイトのVDC評価
総合評価
期待リターン | ★★★★★ |
---|---|
リスクの低さ | ★★★★★ |
経費コスト | ★★★★☆ |
将来予測 | ★★★☆☆ |
おすすめ度 | ★★★★★ |
評価理由
VHTというETFは、当サイトが強くオススメしているETFです。
当サイトのポートフォリオにおいても、15%の比率で組み入れています。
株式投資において、リターンと常にセットで考えなければいけないのがリスクです。
ここ10年の各年リターンを12月時点で定点観測したデータがこちらです。
年 | VTI | VDC |
---|---|---|
2007 | 5% | 13% |
2008 | -37% | -17% |
2009 | 29% | 17% |
2010 | 17% | 15% |
2011 | 1% | 14% |
2012 | 16% | 11% |
2013 | 33% | 28% |
2014 | 13% | 16% |
2015 | 0% | 6% |
2016 | 13% | 6% |
トータルリターンの良さはもとより、各年度のリターンのバラツキが小さくなっているのがわかるでしょうか。
VTIは2008年の下落幅が大きかった反面、2009年の回復期にも大きく回復していますが、VDCは小さく下落して小さく回復しています。
また、VTIは2011年、2015年とリターンが冴えなかった年がありましたが、VDCは2008年を除いて、常にそれなりの結果を残しており、結果的に長期のリターンでも景気敏感セクターを圧倒しています。
短期トレーダーの方などにとっては、値動き幅が小さくてつまらない銘柄に映るかもしませんが、長期投資に向いているETFというのはまさにこのような商品です。
生活必需品とはつまり、それがなくては暮らしが成り立たない製品のことで、売上が景気変動に左右されにくいのが特徴です。
景気敏感株とは相関も低くなりやすい傾向があるため、ポートフォリオの補完としても必ず採用したいETFといえます。
Amazonのホールフーズ買収で今後はどうなる?
過去1年のVDCのリターンは6.54%とS&P500の22.07%と比べて引き離されています。
これは昨今のPB(プライベートブランド)商品の台頭による競争の激化や、Amazonのホールフーズ買収によって大手スーパーであるウォルマートなどの見通しが悲観視されたことなどが影響しています。
ただし、僕個人のVDCの今後の見通しは楽観的です。
VHT(ヘルスケアセクター)のように、特に成長が見込めるセクターという予想をしているわけではありませんが、生活必需品は今後も一定の需要が見込まれ続けるとともに、株主に平均以上のリターンを提供し続けるとみています。
つい先日にはウォルマートがネット分野の投資を拡大させ、急激に売上高を伸ばしていることが報道された影響で株価を大きく伸ばしたニュースが報道されていましたが、ウォルマートは長年、Amazonとの価格競争を耐え抜いてきた実績があります。
「マルボロ」のフィリップモリス、「レノア」などに代表されるP&Gの生活用品、どのレストランにもほとんど必ず置いてある「コカ・コーラ」。
どれも僕らの生活の一部として確固たる地位を築いており、そう簡単に置き換わってしまうようなものではありません。
今のような相場上昇局面においてはIT株などに遅れを取ることも多いセクターですが、景気後退期を終えて振り返った時、それまでのリターンで勝ち抜いている可能性が高いのは生活必需品セクターでしょう。
相場上昇局面でバリュエーションが全体的に高いが、手持ちの現金を増やして機会損失を出したくないという場面でも買い増しをしやすく、ちょうど今のような局面でもおすすめしやすい銘柄です。
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